別れの季節の3月が終わり、新しい出会いがある4月が始まった。会社では入社式、学校では入学式が行われ、活気のある初々しさが感じられる。野山では木々が新たな芽を出し始めているほか、ソメイヨシノも満開を迎えた。川でも稚アユが遡上を始め、堰堤(えんてい)などでは上流に向かって飛び跳ね、何となくエネルギッシュな雰囲気を感じられるのがこの時期だ。

 年の始まりは1月だが、4月は何か物事を始めるにはちょうどいいタイミング。そのスタート時には、誰しも「こんな風になりたい」「ここまでは達成したい」という目標を設定する。しかし、目標の難易度にもよるが、なかなかうまくいかないことが多く、現実とのギャップにもがき苦しむこともある。

 高校野球選抜大会では大阪桐蔭が圧倒的な強さで全国優勝を果たした。選手たちにとっては、この日のために厳しい練習を重ね、チームの強さをアップさせてきたことだろう。苦しいこともあったと思うし、逃げ出したいような時もあったかもしれない。しかし、そこには「もっとうまくなりたい」「チームを強くしたい」というブレのない強い思いが支えになったことだろう。

 これから進学や就職で今まで経験したことのない新しい世界に入るという人も多い。新生活では困難やトラブルがつきもの。仕事などでは辛いこともあるだろう。時には「苦しいからやめてしまいたい」という気持ちにもなるかもしれない。しかし、それを克服して充実した生活を送れるかどうかは、単にその人が持っている能力だけではなく、「この人のために」「これが好きだから」などという素朴でけがれのない強い思いが必要なのかもしれない。

(雄)