県がオフィシャルYouTubeチャンネルに投稿した動画に対して批判の声が上がり、28日までに削除された。

 動画は、県のひきこもり相談窓口である、ひきこもり地域支援センターいっぽラインを、県内のひきこもり当事者向けに広報する目的で作られたもの。それぞれ1分で構成されている動画が3パターンある。

 動画はどれも似通ったもので、男性がコンビニにポテチを買いに行ったり、ゲームをしたりして「全然困ってないですよ。充実してますよ。僕の中では」とつぶやく。その直後、真っ暗な部屋の中で母親の遺影の前に座り込み、呆然とする男性の姿が映し出される。

 当事者たちの支援を続ける様々な団体スタッフなどから、批判の声を聞いた。元当事者の男性は、「当事者たちは、社会の偏見の目を気にして生活している人が多い。動画の内容はむしろ、それを誇張するものだった」と怒りを込めて話す。あるベテラン支援員は「県がこのような認識を持っている、というのが恐ろしい。動画を観た当事者の中には社会の偏見や差別がさらに広がるのではないかと案じて、体調を崩す者もいました」と話している。

 県の担当者に悪意はなかっただろう。なんとかして当事者を相談窓口につなげたい、という思いがあったかもしれない。しかし、描かれている当事者像は極めて第三者的な視点のものであり、当事者の心に寄り添ったものではなかった。

 さまざまな人の気持ちを理解する、というのは難しいことかもしれないが、当事者との心の乖離がなくなるよう、県には心に寄り添ったサポートをお願いしたい。

(也)