ロシア軍がウクライナに侵攻した。両軍の間で激しい戦闘が続き、ウクライナの首都キエフでも交戦が行われているという。「過去に起きた過ちを二度と繰り返さない」と世界中の国々が平和を訴え続けてきた中での出来事だ。それにも関わらず、国家のリーダーの考え一つでいとも簡単に戦争が起こってしまった。戦いで両国の兵士らが血を流し、民間人が犠牲となっている事実に心が痛む。

 他国はロシアを非難する一方で、国益は守ろうとする。ロシアに対する経済制裁も「どこまで効果的なのか」と懐疑的な意見もある。ドイツに関しては軍用ヘルメット5000個をウクライナに供与したが、軍艦などの提供を求めたウクライナ側からは「言葉を失った」と失望したという。どこの国もある意味やむを得ないことだと思うが、自国の兵士を戦地に送り出し、一緒になって戦う国はいない。

 新型コロナが2019年12月に中国の武漢市で第1例の患者が報告され、日本では翌年の1月に初めて確認。当初は世界中がパンデミックに陥ることを予想さえできなかった。しかし、感染者が4億人を超え、死者も約600万人に上り、発生から2年以上経過した今も収束の気配は見えない。今回の戦争に関しても同じ。この先、予想し難い方向に展開し、第3次世界大戦へのきっかけにならないとも限らない。

 平和を唱えるだけでは、戦いをなくすことはできない。日本は日米安全保障条約を結んでいるから、いざという時はアメリカが本当に助けてくれるのか。今回のロシアとウクライナの戦争は、決して対岸の火事では済まされない。平和は思っている以上にもろく崩れ落ちる。

(雄)