新型コロナの国内新規感染者がようやく下降してきたと少しほっとしていたときに、ロシア軍がウクライナに侵攻した。緊張が高まっているニュースは連日報道されていたが、実際に攻撃が始まると緊迫の度はこれまでの比ではない。遠く離れた日本でもこれだけ不安になるのだから、ウクライナ国民の心情はいかばかりか。市民にも犠牲者が出ているとの報道にさらに胸が痛む。我々に何ができるだろうか。前日の小欄の先輩記者がいう「世界のあるべき姿への思いを発信し続ける」に大いに共感する。一日も早く軍事行動が終結することを心から願う。

 一日も早く終わってほしいもう一つは、新型コロナ禍。国内でも様々な行動が制限されるようになってもう丸2年になる。得体の知れない脅威に対する不安は依然として人の心を支配している。ワクチンは医療関係者や自治体関係者のおかげで接種が進み、重症化や感染自体の抑制に大きな効果を発揮している。国内の感染者累計は475万人。すごい数字に見えるが、国民のわずか4%。ワクチンが感染を抑えている表れといえる。ただ、だからといってこれでコロナなんか怖くないということにはならない。

 マイナスな言い方は好きではないが、ワクチンの効果は絶大だが、コロナ対策の切り札にはなっていないといえる。当然、ワクチンが悪いのではない。ワクチン接種効果を経済活動にうまくつなげていないことに問題があるのではないか。塩野義製薬が国内初の飲み薬の販売承認を厚労省に申請したという明るいニュースもある。ワクチンや治療薬を本当の切り札にできるか、政治の腕の見せどころだろう。

(片)