御坊署管内の昨年1年間の人身事故発生件数は41件だった。1997年入社、99年から16年間、警察を担当していた筆者には驚きの数字だった。担当になった当初、パトカーや救急車のサイレンが鳴るたびに確認の電話を入れ、毎日のように事故現場を駆けまわったのを思い出す。当然、気が重い仕事で、現場に向かう車の中で大きな事故でなければいいのにと願っていたことがよみがえってくる。記憶は少しあいまいだが、人身事故件数は管内だけで500件前後だったように思う。二十数年でなんと10分の1に減少。素晴らしいことだと感心した。

 県警の統計では、事故件数は2002年から20年連続で減少した。交通死者は筆者が担当していたころは管内で毎年10人前後が命を落とし、県内では100人前後だった。昨年は31人で、過去最少だった一昨年の18人より増えてしまったが、それでも低い水準といえる。全国で交通死亡事故が発生しない日はないとよく聞かされていたが、昨年4月8日、1968年に統計を取り始めてから初めて、全国の交通死者ゼロを達成した。

 シートベルトの着用率も飛躍的に上がっている。サツ回り当初、県内の着用率調査ではせいぜい70%前後だった記憶だが、今、着用せずに走らせる人はほぼいない。車の性能も格段に上がっている。追突防止など安全運転サポート機能が年々進歩している。ドクターヘリの導入など救急医療体制が充実していることも要因の一つだろう。それでも一番の要因はドライバーの安全運転にほかならない。「交通事故は少しの注意で防げる」と耳にタコができるくらい聞かされていた警察官の言葉に、今さらながらうなずいている。    

(片)