先日、県教育員会が主催する、訪問型家庭教育支援事業の専門講座を取材した。


 家庭教育は、家族のふれあいを通して、基本的な生活習慣、人に対する信頼感や思いやり、社会的なマナー、倫理観、自制心、自立心など「生きる力」を養うすべての教育の出発点。しつけなどもこのうちに含まれ、本来なら各家庭で育まれるもの。以前なら、両親や近所のおじちゃん、おばちゃんなど、気軽に相談できる子育ての先輩が身近にいたが、現在は核家族化や少子化、地域の人間関係の希薄化が進み家庭が孤立。学力、経済などの格差や親世代と子ども世代の価値観の接近などもあり、家庭教育力が低下しているという。このため、地域や学校、行政が連携し、家庭教育をサポートしようと全国的に取り組まれている。和歌山でも支援チームの設置を推進しており、この日はすでに活動しているチームの講演があった。チームの基本活動は、支援員が定期的に家庭を訪問して親しくなり、いつでも相談できる体制を整えておくというもの。


 筆者に子育ての経験はないが、姉に長男が生まれたときの話を思い出した。初めてストローマグでお茶を飲ませるとき、ストローの使い方をどうやって説明すればいいか一瞬途方に暮れたが、横にいた母が、長男に「ちゅるちゅる~」と言ったらあっさり、ストローで飲み始めた。


 改まって相談に出かけるほどではないが、疑問や気になることはたくさんある。それを気軽に聞ける相手がいて、何より、いつも気にかけてくれている人がいるというだけで心強い。特に都市部では、煩わしい人間関係を排除した結果の現状だが、改めて人と人をつなぎ、その温かさで人を育てる環境を取り戻そうと奔走している人たちがいた。

(陽)

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