写真=ホースから放流される親アユ

 アユの養殖、放流などを行っている日高川漁業協同組合は11日、日高川町若野の日高川に産卵を控えた雌など親アユ約6500匹を放流。1日と10日にも放流しており、今期は計画に対し1割増しの2・2㌧、約1万8300匹以上を放流した。

 住民や企業から提供された資金を活用する海産遡上(そじょう)アユ再生プロジェクトの一環。日高川は、40年ほど前までは年間1000万匹を超える天然遡上が確認されていたが、1985年ごろから低調となり、紀伊半島大水害翌年の2012年には27万匹まで激減した。これを少しでも回復させようと同年から親アユの放流を開始。今年は、1月に県沿岸で特別採捕した稚アユを漁協内の施設で10カ月間育成。この日は県の職員も協力し、21、22㌢程度に成長した親アユをトラックで運び、ホースを使って放流した。

 アユは秋に下流域で産卵し、孵化した稚魚が海で成長、春に川を遡上するため、産卵時期の秋の川の水量が翌年の遡上数に大きく影響する。17年以降は400万匹を超える遡上が確認されていたが、昨秋は雨が少なかったため、今年春は親魚放流を行い約175万匹の遡上をなんとか確保した。

 同漁協の前田豊温参事は「今年も川の水が少なく、県内全域で遡上数の減少が危惧される。親魚放流を行うことで、遡上数の最低限の確保につなげたい」と話していた。