高速道路有田―印南IC間の4車線化工事が、いよいよ今月18日完成し、供用開始される。2011年5月に有田ICまで4車線化が完成して以来10年の歳月が流れ、日高地方の住民や企業にとっては待ちに待った開通となる。

 県内の高速道路は朝夕の通勤時間帯や土日、お盆、年末年始に大渋滞しており、4車線化された区間は少し解消されるが、その分、4車線化されていない南方へ渋滞区間が移動するため、決して渋滞がなくなるわけではない。そんな状況を知らなかったのだろうか、09年10月、当時の民主党政権の大臣が御坊―田辺IC間の4車線化事業予算を凍結したこともあったが、これには県民として怒りを覚えた人も多いと思う。

 高速道路の必要性は言うまでもないが、県民にとっては京阪神方面や関空への重要なアクセス道路であり、私生活や仕事で利用することも多い。そして何よりも地震、津波などの災害が発生した場合には緊急輸送道路、まさに「命の道」の機能を持っている。また、観光面でも重要なルート。世界遺産の高野・熊野、温泉や海水浴の白浜などへ行くため多くの観光客が利用する。コロナ禍でここ2年は客足が減少しているが、今年9月末で緊急事態宣言が全国的に解除されて以降は増加傾向。この時期の4車線化開通はいいタイミングだ。

 ただ、日高地方にとってこの4車線化がゴールではない。県外から来やすくなった分、誘客には大きな弾みとなるが、もっと南の観光地ばかりがにぎわうようでは意味がない。いかに御坊・日高の魅力を発信し、引き込めるか。いわゆる〝扇風機の裏側〟にならないよう、これからが本当のスタートだ。
(吉)