社会=サカキ林で薬剤散布などの説明を受ける参加者

 県林業振興課・林業試験場主催の2021年度サカキ生産者等技術研修会が先月、日高川町川原河の山村開発センターなどで開かれ、県産サカキのさらなるブランド化の推進を図るため、生産の現状や栽培技術について学んだ。

 サカキの生産・出荷者のほか、生花業者・市場、農協、森林組合など関連団体や県、市町の職員など約40人が参加。山村開発センターで、県林業振興課の川畑真樹さんが県におけるサカキの生産の現状について説明した。

 サカキやキノコ、山菜類など、山林から生産される産物のうち木材以外は特用林産物と言い、県内の林業産出額の5割以上を占めている。中でもサカキは和歌山県が日本一の生産地で、国産の6、7割のシェアを誇り、サカキとヒサカキ(ビシャコ)を合わせた生産額は年間約5億円に上り、山村地域の貴重な収入源になっている。

 県産のサカキは神事、仏事に用いる仏花として古くから生産。主に日高川町、田辺市が産地で、葉の光沢のほか、神棚用商品に適した美しい結束技術などが高い評価を得ている。しかし、生産者の高齢化や病虫害の激化、シカなどによる食害など多くの課題があり、需要に対し、供給不足が常態化している。川畑さんは「サカキの生産者や林所有者、JA、生花業者や市場の皆さんが、得意分野で協力して取り組めば、サカキでもっと豊かになれます」と協力を呼びかけた。

 このあとは、林業試験場の田中作治さんが、サカキの葉の表面に白い斑点を無数に発生させる害虫サカキブチヒメヨコバイ(2020年命名)の生態や防除について説明。ヨコバイの繁殖を抑えるための間伐、収穫作業や薬剤散布の効果を上げる生育環境についても紹介し、熊野川地内の竿本次男さんのサカキ林では、同ヨコバイに適用のある薬剤の散布実習も行われた。

 参加したJA紀州営農対策部の平貴志部長は「農と林の生産団体が協力し、サカキ生産の活性化など山の恵みをJA出荷と合わせて発展させていきたい」と話していた。