弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することが第一の使命。窃盗や傷害、殺人などの刑事事件では無実の人が誤って逮捕、起訴され、有罪となる冤罪を防ぎ、被疑者や被告の味方となって力を尽くす。

 警察は事件の現場で凶器や指紋、遺留品の証拠をさがし、目撃者がいれば話を聞き、防犯カメラの映像も確認して被疑者を特定する。嫌疑の相当性があれば見つけ次第、逮捕し、報道発表の流れとなる。

 世間の耳目を集める事件であれば、逮捕前の任意同行の時点からニュースとなり、逮捕となればマスコミは一斉に容疑者の住所、氏名などを報道するが、もちろん、まだその人が真犯人と決まった訳ではない。

 優秀な日本の警察が別人を誤認逮捕することはまずない。しかしその分、直接的な証拠や目撃者もなく、本人が否認しているケースであっても、その人のことを何も知らない国民はその人が「犯人」だと錯覚する。

 警察も後戻りはできない。通常は送検、起訴となり、まだ有罪が確定していないにもかかわらず、被告と家族は社会の敵となり、平穏な日常生活が送れなくなる。そこで唯一の味方となってくれるのが弁護士である。

 裁判官や裁判員も、被告側が何の証拠も情報も示さなければ、心証は一方的に黒くなる。弁護士は被告に接見して話を聞き、証拠を集め、身動きできないほど絡みついた被告の霧をはらい、強大な国家権力と対峙する。

 先日、入院中の娘に不必要な薬物を投与したとして、母親が逮捕される不可解なニュースがあった。母親は「やっていない」と否認している。一部報道では、子どもの虐待にかかわる心の病の可能性もあるという。法律のプロの弁護士の奮闘、今後の展開が気になる事件である。  (静)