JRきのくに線をアートで彩るイベント「紀の国トレイナート2021」は31日から11月21日まで、御坊市から新宮市までの12市町の沿線で開催される。本紙エリアでも御坊、日高川、印南、みなべで作品の制作、展示が予定されている。

 紀の国トレイナートは2014年、JRきのくに線の駅舎をアート作品にすることを目指し、地域の有志とアーティストが共に立ち上げたアートプロジェクト。JR西日本の協力のもと、臨時アート列車「紀の国トレイナート号」が運行し、駅舎アート、車窓アートを巡ることができる。沿線の自治体が取り組みをバックアップし、行政区や官民の隔てなく取り組まれている。

 昨年は新型コロナの影響で中止となり、2年ぶり7回目となる今年が最後となる。集大成の今回は「ぐるり紀伊半島BTK(ビジュツカン)」をテーマに、20人(組)のアーティストが参加し、御坊から新宮市の沿線12市町の駅周辺18カ所にアート作品を設ける。

 日高地方では、18年から参加している紀州鉄道のエリアで「きのくに西御坊遺跡」と題し、御坊市で遺跡をモチーフに展示空間を含めて作品とするインスタレーション作品が設けられる。日高川町は道成寺―和佐駅間で、線路沿いの壁に絵を描く車窓アート「きのくにView!」、印南駅では以前カエルのオブジェで駅舎を飾った作家が再度立体物を同駅に設置する駅舎アート「DELIVER」が展示される。みなべ町では「海の生きものたち、アカウミガメ物語」をテーマに、千里浜に産卵にやって来るアカウミガメを主題にして、地域の子どもたちとのワークショップや、紙芝居、絵本の読み聞かせなどを実施。創作を通じて豊かな自然の大切さや命の尊さを伝える。制作した作品は南部駅前に展示される。

 初日の31日には、田辺駅前広場で開幕式が行われ、全国の高校生以下を対象にデザインを募集し、最優秀デザインを採用したラッピング列車が出発。11月6日には各アートを鑑賞し、作品の説明などが聞ける臨時列車「紀の国トレイナート号」が運行される。御坊駅午前9時34分発、新宮駅午後4時05分着となっている。