写真=町道沿いの山(写真左)を切り開いて避難路を新設する

 みなべ町は、南海トラフの巨大地震による津波を想定し、埴田地区に新たな避難路の整備を計画している。鹿島神社周辺の埴田地区や隣接の芝地区は海岸線沿いに民家が密集しており、南海トラフの巨大地震ではほとんどが浸水するエリア。新たな避難路は主要道路の町道埴田堺線から山を切り開いて幅員9・25㍍の道路を新設する計画で、まだ数年先だが完成すれば住民を守る「命の道」になりそうだ。

 新設する場所は、薬師寺から北約200㍍、町道埴田堺線沿いの山で、中腹には昔、医王寺といわれる寺があったとされる場所の周辺。いまは跡地もないが、地元では通称「医王寺」と呼ばれている。
 現在は新設場所の近くの町道を避難路にしているが、幅員が3㍍余りと狭く、町道へ接続するトンネル(ボックスカルバート)も狭いため、以前から、避難場所にしている埴田と芝地内の片町地区などから新たな避難路を求める声が上がっていた。
 町では「埴田医王寺避難路整備事業」として今年度から本格的に着手する。今年度予算には測量や用地・物件補償費など関連予算約1億円を計上している。町道沿いが起点(標高9㍍)で、山を切り開いてJR紀勢線のトンネルの上を通って標高約45㍍まで、一部カーブしながら延長500㍍のアスファルト舗装した避難路を新設する。幅員は2㍍の歩道を含め9・25㍍で、町が東吉田で進めている防災広場への避難路と同じ広さとなる。
 現在は設計を進め、これから地権者への説明や本格的な話し合い、JRとも具体的に協議していく。国の「都市防災総合推進事業」の補助を受けて実施する関係から、5年以内の完成を目指しているが、町では「関係者の協力を得ながら一日も早く完成させたい」と話している。完成すれば住民がより安全により高い場所へスムーズに避難できるようになると期待されている。