写真=入選作品「仙人風呂・川湯温泉」

 御坊市藤田町藤井、グラフィックデザイナーの池口肇さん(77)が第34回全国和紙画展で3度目の入選を決めた。岐阜県美濃和紙の里で開かれるレベルの高い大会で、今回は全国から169点の作品が寄せられた。池口さんは「仙人風呂・川湯温泉」で入選。コロナ禍のため表彰式は行わないが、作品は今月21日から12月20日まで、岐阜県美濃市の美濃和紙の里会館で展示される。

 池口さんは25歳の時に「ワ」をモチーフにした和歌山県の県章が採用されてから本格的にデザインを始め、デザイン事務所を設立。シンボルマークなどのデザインでこれまで多くの賞を受けている。切り絵は10年前から、独学で始めた。2013年、国民文化祭やまなし国際切り絵コンクールで世界4番目となる賞を受賞。全国和紙画展では、第28回、第30回に続く3度目の入賞となった。

 今回の受賞作品「仙人風呂・川湯温泉」は、一昨年12月に訪れた川湯温泉の風景を描いた。76×51・8㌢の大きさ。広々とした川の温泉でくつろぐ人々の姿、上にそびえる山の森の存在感を精密な切り絵で表現している。切り口は大きい部分でも5㍉、小さい部分は0・2㍉ほどという繊細な作品で、高度な技術力が求められる。

 池口さんは「川の中の冬の温もり、湯に映り込む人の影や山の印象的な原風景を切りあげました。レベルの高い和紙画展で3度も入選させていただけたことは、うれしい驚きでいっぱいです。黒と白のモノクロだけで色や空気感まで表現できるのが切り絵の世界。これからもその魅力を追求していきます」と喜びを話している。