みなべ町は、今シーズンのアカウミガメの上陸・産卵回数をまとめた。産卵は30回にとどまり、統計を取り始めた1981年以降、最も少なかった98年の29回に次いで2番目に少なかった。ウミガメは産卵できるようになるまで30~40年かかるといわれており、約30年前も産卵数が少ないころで、産卵できる母ガメの個体数が少ないのも要因の一つではないかとみられている。

 本州最大のアカウミガメの産卵地である山内地内の千里の浜で、今年も日本ウミガメ協議会の学生ボランティアらが調査した。

 町によると、今年は5月29日に初上陸、初産卵を確認。6月中は上陸22、産卵11、7月は上陸31、産卵16、8月は上陸5、産卵2で、今月22日に調査を終了した。

 昨年の産卵63回から半減。過去最も多かったのは91年の348回で、これと比較すると10分の1以下。19年は47回、18年59回と、4年連続して2桁となった。過去の統計では、97年から8年連続して2桁にとどまった時期があり、逆に84年から13年連続で100回を超える期間があるなど、産卵回数は緩やかな波の周期がある。ここ数年、産卵が少ないのは、ちょうど30年ほど前に産卵が少なった時期に生まれた子ガメが母ガメになっている時期になることから、もともとの個体数自体が少ないとの見方ができるという。

 日本ウミガメ協議会の調査では、産卵後、比較的大きな個体は東シナ海、小さめの個体は太平洋の外洋へ向かう傾向がある。今年産卵した個体は比較的大きな個体がほとんどだったことから、何らかの原因で外洋に出ていた個体が産卵にこれなかった可能性もあるとみている。

 町教育委員会では「産卵は多い時期と少ない時期が繰り返されているので、長い目で見て数年後にはまた増えていってくれることを期待したい」と話している。