バレーボールの元男子日本代表監督で、現大阪商業大学バレー部総監督の植田辰哉氏(57)が10月から、みなべ町や田辺市を拠点に、「世界に通用する人材」を育てるバレーボールの「龍神植田塾」を開講する。まずは小中学生を中心に、将来はオリンピックや全国大会優勝を目標にする選手の育成から、バレーを楽しみたい初心者まで、カテゴリー別に選手に合わせた指導を実践。和歌山をモデルに、将来は全国展開を目指す。

 植田氏は、1992年バルセロナ五輪では主将として活躍。05年から13年までは男子日本代表監督を務め、五輪出場を果たすなど輝かしい経歴を持つ。世界と戦う中で、日本バレーの底上げを図ろうと、数年前から小学生と中学生年代のアカデミーの立ち上げに奔走。昨年は全国大会常連の南部バレーボールスポーツ少年団の練習を視察し、「小学生年代の育成に理想的な練習」と絶賛していた。

 代表監督時代の愛称が「龍神ジャパン」だったことから、田辺市龍神村の住民が熱心に応援したことが縁で紀南地方と交流があったこと、龍神植田塾の事務局を務める中田真寛さん(田辺市のセレモニーホールなかた)と親交があったことなどから、紀南地方を拠点に全国に先駆けてアカデミーをスタートさせることになった。

 U12(小学生年代)とU15(中学生年代)からスタートし、将来的にはU18(高校生年代)にも広げていく。塾は基本的に毎月1回、土日の2日間開講する。U12は無料、U15は1回1000円。U12は南部バレースポーツ少年団との合同練習が中心で、同チームの石上貴一監督や竝木正明コーチが指導する。バレーの技術の基礎だけでなく、柔軟性やバランス感覚などを養うトレーニングを実践する。

 U15は田辺市のスポーツパーク体育館がメイン会場。植田氏や元日本代表選手らが指導に訪れる計画で、バレーのトレーニングだけでなく、コミュニケーションや体づくりなどにも取り組む。参加者は今月末まで募集しており、すでに続々と応募がきているという。

 植田氏は「バレーボールを通じて、世界に通用する人材を和歌山で育成し続けたい」と熱い思いを披露。事務局の中田さんは「この塾は10年、20年と続けていかないと意味がない。地域の力を結集して持続可能な活動をしていきたいので、協力お願いします」と話している。

 この活動は田辺周辺広域市町村圏組合の助成を受けており、みなべ町など紀南各市町が後援している。