和歌山高専など国内外の20の研究機関が参加した国際共同研究チームが、これまで解明されていなかったメダカ科魚類の起源について、7400万年前の中生代後期のインド亜大陸にあることを突き止めた。和高専からはスティアマルガ・デフィン准教授(43)=インドネシア出身・御坊市在住=が参加し、「小さな魚に壮大なストーリーがあることが分かった」と話している。

 研究には和高専のほか琉球大、東北大、長浜バイオ大、神戸大、東山動植物園、OIST、農研機構、国際農研、京都大、遺伝研など国内13機関と、インド、ベトナム、ラオス、ミャンマー、タイ、インドネシアの6カ国7研究機関が参加した。

 メダカはこれまでに37種が知られており、東南アジアを中心に西はインドから東は日本まで広く分布しているが、メダカ科魚類の共通祖先がいつどこで誕生したのかは明らかになっていなかった。

 今回の研究では世界中からメダカ科魚類を集め、ミトコンドリア全ゲノムと5つの核遺伝子の塩基配列の解析で、メダカ科魚類のルーツをたどった。解析の結果、西インドの西ガーツ地方に生息するセトナイメダカが最も古い時代に分岐したメダカ科魚類と分かり、東南アジアや東アジアの全てのメダカ科魚類がセトナイメダカと姉妹関係にあることが明らかになった。

 さらに、化石情報を基にセトナイメダカとその他のメダカの共通祖先との分岐を探ったところ、恐竜が地上を支配していた中生代後期の7400万年前までさかのぼることが判明。この時代は、インド亜大陸がゴンドワナ大陸から分離し、インド洋を北上している時代に一致。これによりメダカ科魚類の共通祖先はインド亜大陸にいたと考えられ、インド亜大陸がユーラシア大陸に衝突・合体した後に、メダカ科魚類はアジアに分布を拡大していったと結論付けた。

 スティアマルガ准教授は東京大学の研究員時代にメダカの研究をしていたことなどからチームに加わり、起源解明に力を尽くした。研究結果を受け「研究員時代から10年越しのストーリーが完結した。メダカが恐竜時代を生き抜くなど衝撃的で面白い結果となり、小さな魚に壮大なストーリーがあることが分かった。これからも守り続けていかなければならない」と話している。