県は新型コロナウイルスに感染した人を対象に募った体験メッセージを、県のホームページで公開している。感染予防対策や早期発見の重要性が紹介されているほか、入院中の症状の辛さ、突然の感染に対するショックや戸惑い、次々と家族に感染が拡大していく恐怖、老人ホームでのクラスターの脅威など、感染者の貴重な生の声がつづられている。

 県はコロナ感染者を対象に定期的な後遺症のアンケートを行っているが、昨年9月以降の感染者には後遺症アンケとともに、県民に伝える体験メッセージも募集。今年6月14日から7月13日までの期間で100件以上の応募があり、その中から59人のメッセージを掲載している。

 県ホームページにある健康推進課の新着情報から閲覧可能。世代ごとに分類されており、10歳未満・10歳代のメッセージでは「軽い症状ですぐ治ると聞いていたが、実際自分が感染してみて辛かった。退院しても、以前のような集中力を欠いて、学業の能力が落ちている」。40歳代では「息子がコロナに罹患(りかん)し、自分も付き添い入院しました。生活や風評被害への不安、何気なく言われた一言に傷ついて涙を流したこともありました」。70歳代では「老夫婦2人で、生活範囲も限られているのに感染しました。高齢で肥満、既往症満載。感染後は39度の高熱となり、酸素吸入のお世話にもなりました。3週間の入院、1週間の肺炎治療のあと、2カ月漢方薬をのみ、体力も元に戻りました。我ながらよく生き延びたものだと思います」。

 このほか、「父が入所している老人ホームでクラスターが発生。最初に感染者が出てから父が発症したのは1週間以上経っていたので、クラスターの怖さを感じました」(40歳代)、「業務上の会食(小人数)で感染し、家族や職場に多大な迷惑と心配をかけてしまった」(50歳代)、「がん闘病中にコロナに感染したが、手厚い治療のおかげでコロナに打ち勝つことができました」(60歳代)など。

 県健康推進課は「体験メッセージはコロナ対策につなげてもらおうと初の試み。こんなことに気をつければいい、感染すると大変な思いをするなど、実際に感染した方の生の声が県民の皆さまに伝われば」と話している。