写真=みなべ町でクラブをPRする竹川さん、森永代表、東原さん(左から)

 移住と農業を組み合わせた新しい形の社会人サッカークラブ「南紀オレンジサンライズFC」が、みなべ町や田辺市を拠点に、2022年からの本格始動へ向けて準備を進めている。選手やスタッフが県外から移住し、農業や地元企業で働きながらサッカークラブとして上位を目指していくユニークな取り組み。地域の課題解決にオレンジサンライズの存在が欠かせない、そんなクラブづくりに挑戦する。

 代表を務めるのは、京都出身で大阪在住の森永純平さん(32)。大学卒業後、四国アイランドリーグで2年、滋賀の関西リーグのチームで6年、運営スタッフとして活動してきた。「アマチュアが勝つだけで地域に貢献するのは難しい。そもそも地域に不可欠な存在となるチームをつくりたい」と一念発起。日本一の梅産地として有名な一方、労働力不足が課題となっているみなべ・田辺地域を拠点にチームをつくることにした。

 県外から移住した選手やスタッフがサッカーだけでなく、農業や企業の労働力となることで、地域に貢献できる新たな存在意義を創造していく考え。サッカー経験のない監督を公募し、応募者の中から峯上裕樹さん(26)=大阪=の就任が決定。9月から本格的に選手らの募集を始めるが、チームコンセプトに賛同した2人と、マネジャー1人が内定している。

 選手の1人、竹川恭平さん(24)は兵庫県出身。和歌山大卒業後は小学校の先生になったが、好きなサッカーを続けたいとの思いは消えることなく、農業にも関心があったことから今年3月、教諭をやめてチームに加入。5月から約2カ月間、みなべの梅農家で働き、今後も農業に関わる。マネジャーの東原壮志さん(25)=大阪=も少年時代からサッカーを続け、大学生になって2級審判員の資格を取得。卒業後は、一度は審判から離れたが、審判員をメインにマネジャーとしてチームに合流することになった。2人とも「大好きなサッカーを続けながら、自然の中で仕事ができる、自分にとって最高の環境」とチーム始動を心待ちにしている。

 今後は選手25人の募集を始め、田辺スポーツパークと上富田スポーツセンターを本拠地に来年1月からトレーニングを開始。4月から県社会人サッカー3部リーグに参戦する。より発信力を高めるために将来的には関西1部リーグ、さらにその上を視野に入れ、強いチームづくりも目指す。ユニホームの制作などクラブの運営資金確保などを目的に、目標金額500万円で、8月27日までクラウドファンディングを行っている。リターンは日高地方や紀南地方の企業8社が提供する。

 森永代表は「自分たちから地域に溶け込み、応援したいと思ってもらえるクラブを作っていきたい。応援よろしくお願いします」とPRしている。