4日夜、テレビを見ていると、ニュース速報のテロップが流れた。また日本人選手がメダルを獲得したと思いきや、話はオリンピックとは無関係。11年前、神戸で起きた高校生殺害事件の容疑者逮捕の一報だった。

 どんな事件だったか、速報だけでは思い出せなかったが、その後のニュースで過去の映像や被害者の写真を見て、その犯行のあまりの理不尽さとむごさに、犯人への怒りと恐怖を覚えたことを思い出した。

 深夜11時前、被害者の16歳の高校生は知り合いの女の子と路上で話をしていて、黙って近づいてきた男に襲われた。死因は首を刺されたことによる失血死。首の付け根の傷は8㌢に及び、頭や背中にも傷痕があった。

 兵庫県警は延べ3万人の捜査員を投入し、警察庁は300万円の公的懸賞金制度を適用した。何を端緒に捜査が急展開したのか、犯人は容疑を認めているのか、まだ何も分からないが、あきらめずに捜査を継続してきた警察官の執念が犯人逮捕に結びついた。

 オリンピックのメダルラッシュのさなか、耳を疑うニュースもあった。今年4月、和歌山県警の警察官が捜査で出張していた東京都内で女性ともみあってけがをさせたとして、傷害容疑で逮捕されていたことが明らかになった。

 女性ともめた理由は発表されていないが、一部報道によると、警察官は仕事を終えてホテルで酒を飲み、コンビニへ行った帰りに見かけた好みの女性を盗撮しようとしたと供述しているという。テレビの速報にこそならなかったが、衝撃は神戸の事件以上だった。

 オリンピックの選手の涙は多くの人に感動を与える。兵庫県警の正義の力も同じ日本人として誇らしい。和歌山県警はひたすら地道に名誉挽回を。(静)