現職、新人合わせて16人が立候補した印南町議会議員選挙(定数12)の舌戦も、いよいよきょう限り。8年ぶりの選挙戦で票読みが難しいが、上位は地盤の安定した中堅やベテランの現職勢が独占ムード。新人勢は期待票が分散しているが、中には善戦している陣営もあり、上位に食い込む可能性もある。下位は現職、新人合わせて6人が入り乱れ、うち知名度不足や出遅れが響く2人は特に厳しい戦いを強いられている。最終盤の戦況を分析してみた。 

 【印南地区】約2100票の町内一の大票田に現職3、新人2の計5人が出馬。前回(2013年8月)512票で5位の堀口晴生は新人のあおりを受けるが、現職議長、元近畿町村議長会長の人脈と意地で新たな票も掘り起こし、中位以上をキープできたか。前回518票で4位の中島洋も新人出馬の影響で防戦一方となり、他地域での大きな上乗せの好材料もないが、長年地元少年野球の監督を務めた関係の支援は固く、今回も好位置につけたい。前回492票で7位の藤薮利広は地元津井で他陣営の攻勢、出身の稲原で2新人出馬の影響を受けるが、早くからの精力的なあいさつ回りが浸透し、安全圏に届いたか。新人の丸山則枝は昨年2月の町議補欠選で落選してからの再挑戦で、地元光川の支援や初の女性議員への期待を一定集めるが、強力な支持基盤がないうえ出遅れ気味で、厳しい戦い。新人の片山智文は大きな地盤も知名度もなく、当落線上。「若さで改革」を旗印に若者層や町外からの応援でムードは上向いており、無関心層の掘り起こしが進めばさらに上積みの可能性もある。

 【稲原地区】約1600の票田に現職1、新人2の計3人。前回436票で9位の岡本庄三は地元山口区での支援を頼りに、独自の議会通信を発行するなど地道な活動を続けて根強い支持を得ているが、他陣営からの切り崩しが激しく、当落ライン越えまでもう一歩。新人の黒井美晴は現職夏見公久氏の後継として出馬。稲原区でのもう一人の新人出馬で地元票が分散しているが、一定票を固めつつ、長年勤めたNTT関係の人脈も生かして地元以外でも集票しており、安全圏入り目指してラストスパート。もう一人の新人の谷章資は地元稲原で長年にわたるボランティア活動で知名度もあり、親戚関係の他町の町議らの応援も受けて集票しているが、確かな票が読み切れない部分があり、当落線上から抜け出せるか。

 【切目地区】約1500の票田に現職4、新人1の計5人。前回511票で6位の榎本一平は共産党の5期目ベテラン。島田で3人出馬の影響を受けるが、地元上道以外にも全町的に訴えを展開して党関係者以外からも反応がよく今回も安全圏が見えてきた。前回579票で3位の玉置克彦もやはり島田でのあおりを受けるが、地元元村区の推薦など西ノ地全体での支援が固く陣営の士気も高いうえ、候補者本人の運動量もピカ一。前々回はトップ当選しており、陣営のさらなる引き締めでトップに返り咲くか。1期目無投票で今回が初の選挙戦となる古川眞は地元島田区の元町議や有力者のバックアップを受けて力強い支援態勢を構築。他陣営の切り崩しもあるが、島田以外でも集票しており、安全圏までもうひと踏ん張り。昨年2月の町議補選で当選して本選は初めての木村栄一は、その補選で2341票を獲得した前評判のよさから反動があり、票が伸び悩んでいる。地元島田区の支援を頼りに教師時代の教え子、漁業、農業関係など全町的な票の獲得で当選圏内入りまであと一息。島田2現職のご近所となる新人の有本洋一は出馬表明が最も遅く、苦しい戦い。組織がなく、告示初日も町内99カ所のポスター張りに費やした。軽トラでの街宣で議員定数削減や介護問題を訴えており、有権者にどこまで届いたか。

 【切目川地区】約960の票田に現職1、新人1の計2人。前回615票で2位の杉谷考祥は町内での血縁が多く、地元有力者の支援も受けているが、8年間の選挙運動で多くの支持者が亡くなったうえ、高齢化で一部支援態勢が崩れ、地元羽六でも新人出馬のあおりを受けるなど厳しい状況に追い込まれており、終盤で滑り込めるか。新人の津井雅人は地元美里区の推薦を受けて隣接の古井区での現職引退票も一部集票。姻戚関係の県議や有力企業の支援も受けて新人の中では善戦しており、さらに勢いに乗れば上位の一角を崩す可能性もある。

 【真妻地区】約490の票田に現職1人。前回、日裏勝己町長の後継として出馬し、628票でトップの前田憲男は地元の固い結束で安定した戦いを展開しているが、前回から150人以上の支持者が亡くなっており、票の目減りが不安材料。消防団などの人脈や血縁をたどって他地域でカバーできれば今回も上位が見えてくる。