写真=野田さんの作品を鑑賞する来館者

 和歌山市吹上の県立近代美術館で9月26日まで、御坊市出身の画家野田裕示さん(68)の作品展「集まる庭」が開かれている。

 野田さんは1976年、多摩美術大学絵画学科油画専攻を卒業し、翌年東京で初の個展「野田裕示展」を開催。以後第一線で活躍する。80年、ニューヨークへ渡り、県文化奨励賞(90年)や芸術選奨文部科学大臣新人賞(01年)、御坊市文化賞(同)などさまざまな賞に輝く。03年には母校の油画専攻教授に就任し、昨年、定年退職し名誉教授となった。

 絵画の在り方をテーマに制作を続ける野田さんは、カンバスや木枠そのものを作品として見せるなど、さまざまな作風、方法論を探求。今回は野田さんの集大成ともいえるさまざまな年代の作品86点と、野田さんが刺激を受けた作品129点(同館コレクション作品)が並ぶ。

 野田さんの作品《WORK1666》は、カンバス全体を覆った綿布に切り込みを入れ、折り畳み、張り合わせた不思議な形の作品で、絵の具が幾重にも塗り重ねられている。《WORK283》は、上部は布のひだで表現した正方形が規則正しくグリットのように並び、下部には円形に配置した木片がランダムに浮き出す、凹凸ある対比が目を引く作品となっている。

 奥村泰彦学芸員は「野田さんと他の作家の組み合わせから、共通点や似ていないように見えるものもある。そこに共感したり、違和感を覚えたりすることもある。見比べることで楽しさが見つかるのでは」と話している。

 開館時間は午前9時半から午後5時(入館は4時半)まで。入館料は大人520円、大学生300円、高校生以下、65歳以上は無料。月曜休館。

 詳細は同館℡073―436―8690。