写真=龍神さんの設定どおりに薬剤を散布するドローン

 作業の省力・効率化、作物の高品質生産等に向け、ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用したスマート農業が進化を続けるなか、美浜町和田(入山)で31日、ドローン(小型無人機)による水稲の消毒作業が行われた。アイガモを使った無農薬農法等に取り組んできたグループが、町内でドローンの消毒を実践している男性に依頼。炎天下の長時間の作業は熱中症の危険もあり、60代が中心のメンバーは大幅な労力削減を実感していた。

 ドローンによる消毒を実践しているのは、吉原でキュウリを栽培している龍神茂さん(46)。今回、消毒を依頼したのは、入山と西山の間に広がる田園地帯で水稲を栽培している久保博巳さん(64)らのグループ。27年前、アイガモを使った無農薬栽培の研究に取り組み、一時は11軒の農家が集まったが、その後、鳥インフルエンザの流行等でアイガモ農法はストップし、メンバーの引退もあって、現在は4軒が共同で米(広さは約2・8㌶)を作っている。

 ドローンはGPS衛星の信号を使って飛行し、位置や高さは1㌢単位で確定、龍神さんが事前に散布範囲を測量した。この日はドローンにバッテリーと薬剤を搭載し、スマホのアプリで指示を受けたドローンが飛び上がり、地上約2・3㍍の高さを移動しながら薬剤を散布した。バッテリーが減ると自動で元の場所に着陸。数回のバッテリー交換、薬剤補充を繰り返し、開始から約1時間半で作業が終了した。

 通常、グループの田んぼの消毒は5人が手作業で半日がかり。メンバーは「大幅な省力化は間違いないし、何よりも炎天下の2回の消毒が機械化されるのは熱中症等の危険を排除できる。依頼する側としては、思ったほどコストもかからない。今後はどうなるかわかりませんが、私たちのようにある程度の広さで複数の農家がまとまれば、メリットも大きいと思います」と話していた。