写真=天田橋で手を合わせて冥福を祈る橋本さんと西川さんの家族ら

 1953年(昭和28)の紀州大水害(7・18水害)から68年を迎えた18日、犠牲者の冥福を祈ろうと、御坊市薗の橋本由枝さん(81)らが日高川に架かる天田橋で供養を行った。

 橋本さんの夫克彦さんは水害時、濁流の中に残った天田橋の橋脚にしがみつき、一夜を過ごしたという。水害後、克彦さんが毎年、犠牲者の供養を続けてきたが、おととしに亡くなり、10年ほど前からは近くに住む会社員の西川徹也さん(51)らも参加するようになり、現在は由枝さんらとともに克彦さんの遺志を引き継いでいる。

 今年は橋本さん、西川さんのほか、西川さんの母町代さん(90)、妻里佳さん(48)、長女優里ちゃん(10)、次女愛栞ちゃん(6)、橋本さんの友人の山田シゲ子さん(80)の5人も加わり、川に向かって手を合わせて酒を流した。

 橋本さんは「(災害の危険が高まったときは)早めの避難を心がけ、二度と7・18水害のように犠牲者を出してほしくない」と言葉を詰まらせ、嫁ぎ先の有田市で義理の母親を亡くした町代さんも「当時は出産のため、御坊に里帰りしていましたが、有田の家や田んぼはすべてが流され、普通の生活まで持ち直すまで何十年も苦労しました。心は今も取り残されたままです。あの日の水害、出来事を絶対に忘れることはできません」と話していた。

 7・18水害は県中部を中心として洪水などの災害が発生し、死者は713人、行方不明は411人となった。