写真=大臣表彰受賞が決まった中本さん

 建設事業の推進に功績があった人や団体をたたえる建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰の受賞者が決まり、県内から5人、日高地方からは、元和高専副校長の中本純次さん(67)=みなべ町東岩代=が唯一選ばれた。中本さんは学生として5年、教官として45年、半世紀にわたって和高専一筋。コンクリート工学と土木施工のスペシャリストで、多くの技術者を輩出、建設業者への技術指導など業界発展に貢献している。

 中本さんは南部中を卒業してから和高専に新設された土木工学科の1期生として5年間学び、卒業した年の4月から教官として勤務。環境都市工学科教授、2015年からは副校長を務め、17年3月に63歳で定年退職したあとも嘱託教授、2年前からは非常勤講師を務めており、実に52年間一筋のミスター和高専。コンクリートの研究で博士の学位を取得し、数多く提出した研究論文は学会でも高い評価を得ている。97年には「高炉スラグ高含有コンクリートの強度特性に与える各種養生方法の影響」(共同研究)で第24回セメント協会論文賞を受賞しており、コンクリート工学と土木施工の第一人者として有名。教官として多くの生徒を育成し、建設業の担い手となる技術者をたくさん輩出してきた。

 06年に県の建設工事等総合評価審査委員会が設立されたときから、今年3月に退任するまで14年余にわたって会長を務めた。県が発注する工事の落札者決定基準の審査や、入札応募事業者の技術点を評価するのが主な任務で、専門知識を生かした的確な判断を行うことで、公共工事の品質確保、地域の社会資本整備などに大きく貢献してきた。ほかにも近畿地方整備局県総合評価委員会委員、県生コンクリート品質管理監査会議議長なども歴任した。

 知識と技術力を生かし、地域住民が安心して生活できる環境づくりに取り組もうと、08年にNPO法人「翠(みどり)」を設立。理事長として地域の建設業者への講習会や相談にも気軽に乗っており、業者の育成に力を注いでいる。

 コンクリートが大好き。長年続けている剣道の大会等で全国各地を訪ねても、コンクリートの構造物の写真を撮り歩いていると笑う。受賞には「私を推薦してくださった関係者の皆さんの気持ちがうれしい。これからも知識と技術を生かして地域のお役に立てるように頑張りたい」と話している。