写真=慰霊碑に献花するヤング大使

 駐日米国臨時代理大使のジョセフ・ヤング氏(56)とリュー・スーイング夫人が5日、自民党の二階俊博幹事長の案内で田辺市龍神村殿原区にある米軍爆撃機B29搭乗兵の慰霊碑を参拝し、献花や記念植樹を行った。同区では太平洋戦争末期に地元の西ノ谷に墜落、戦死した米兵を埋葬し、70年以上にわたり供養してきた歴史があり、ヤング大使は日本人の思いやりの心に感動、感謝するとともに、日米友好の深化を誓っていた。

 B29は戦争末期の1945年5月5日、日本の戦闘機との空中戦で西ノ谷に墜落。搭乗兵11人のうち7人が死亡、生存した4人は捕虜となり、3人が処刑され、1人は不明とされている。殿原の住民は戦時中にもかかわらず米兵を埋葬して供養する卒塔婆と十字架を建て、45年6月に慰霊の供養を営み、47年12月、惣大明神横に慰霊碑「連合軍戦没アメリカ将士之碑」も建立。毎年慰霊祭を続けている。

 ヤング大使と二階氏は日頃から親交があり、今回、ヤング大使が任期を終えて帰国する機会に、二階氏の実母の生まれ故郷でもある、殿原区を訪問することになった。

 慰霊式典には自民党国際局長の小泉龍司衆議院議員、真砂充敏田辺市長、地元殿原の安達克典同市議会議員らも参列。慰霊碑前で献花のあと、殿原区の郷土史家古久保健氏(83)が地元区を代表して「遠方から来て献花していただき、いまの瞬間、平和のありがたみをしみじみと感じる。これからも『戦争は絶対にいけない』と訴え、慰霊祭を続けたい」とあいさつ。ヤング大使は「70年以上にわたりこの慰霊碑を守り、語り継がれた古久保さんや地元の皆さまに深くお礼申し上げたい。日本人の持つ深い思いやりの心が米国人を感動させる。そしてこのような行動や精神によって日米同盟も支えられ、さらに強固なものとなっている。これからも日米同盟を発展させ、日米間の友情を深めるため努力を続けたい」と述べた。二階氏も「長年にわたり慰霊碑を守り、平和の尊さを次の世代に伝えてくれている地元関係者に心から感謝したい。ヤング大使の参拝を機に、あらためて世界平和を誓えたことを、ご先祖さまも喜んでくれているはず。この地を起点に日米友好の花を咲かせたい」とした。

 慰霊碑前で、2018年に新品種として認定された熊野桜の記念植樹や記念撮影も行った。