写真=屋根の葺き替えと絵柄の補修が行われる須賀神社の3殿

 みなべ町西本庄にある須賀神社(前芝弘知宮司)は、今年度と来年度の2カ年で、社殿の檜皮(ひわだ)葺きの屋根を35年ぶりに葺き替える。壁面に施されている絵柄も老朽化しており、併せて塗り直す。地域住民のよりどころとして親しまれ、県の文化財にも指定されている歴史的にも貴重な神社は、約1年半かけて美しく生まれ変わる。

 社伝によると、一条天皇(986~1011)の時代に、京都の祇園御霊宮(現・八坂神社)より勧請したとされている。明治まで南部荘15カ村(旧上南部村・南部町)の総社として、また三鍋王子社、鹿島神社と南部三社として、費用は南部荘15カ村でまかなわれていたと伝えられている。1968年には鎮守1000年祭りが行われており、非常に古い歴史を持つ。

 今回葺き替えるのは、第1殿、第2殿、第3殿の3社。いずれも江戸中期に建立された。一間社隅木入り春日造り・丹塗極彩色が施され、屋根はヒノキの皮を重ねた檜皮葺き。社殿の整った形態、豊富な彫刻を飾る古い建造物の少ない紀南地方で貴重な存在として、1968年に県の重要文化財に指定された。

 葺き替えはこれまで25~30年の間隔で行われてきたが、壁面の絵柄は前回の葺き替え時に行っておらず、今回は大規模な修復作業となる。

 工事は6月から行う。今年度は第1殿と第2殿を施工し、来年度に第3殿を仕上げる。すでに第1殿と第2殿に祀っている祭神を第3殿に遷した。費用は氏子からの浄財と、県や町の補助金を充てる。前芝宮司は「多くの皆さんの協力のおかげで施工することになり、感謝しています」と話している。