新型コロナ禍で式典が中止になった新成人に思い出を残してあげたいと、みなべ町で3日、町民有志による花火の打ち上げと、商工会青年部の写真撮影会がそれぞれ行われた。花火は3分間、新たな門出を祝う希望の光となって澄んだ夜空を焦がし、コロナ禍の中も前に進む若者たちを祝福。写真撮影会には振り袖やスーツ姿の新成人が臨み、笑顔いっぱい。町民のぬくもりが感じられる晴れやかな一日となった。

 花火は、新成人を祝う会(同実行委員会主催、山本譲委員長)として埴田漁港で打ち上げた。山本委員長と森本祥平さんら30~40代の有志が中心となって、式中止を受けて急きょ企画した。「思い出に残ることで、社会に出ていくとき、みなべ町はいいまちだと感じてもらいたい」との思いを込め、多くの町内企業から協賛を受けて実現した。

 会場の埴田漁港では午後7時20分ごろから新成人のみを対象にしたミニコンサートが開かれ、県内を拠点に活動する男性アコースティックデュオ「アロエルート」らがライブを披露。県外から帰省できなかった新成人には動画や花火をライブ配信した。ソーシャルディスタンスを保ったまま100人を超える新成人や町民らが見守る中、カウントダウンとともに午後8時から花火を打ち上げ。色とりどりの大輪が夜空に咲いた。友達3人で見に来た新成人の前岩菜月さん、中川まきさん、川西美穂さんは「式が中心となって残念だったけど、花火は素晴らしくて心に残りました。いい大人として頑張っていこうと思いました。若い力でみなべ町に新しい風を巻き起こしたい」と話していた。

 写真撮影会は、「二十歳の思い出を作ってあげたい」と商工会青年部の岩本智良部長(39)や副部長の冨士利郎さん(42)らが企画、短期間に部員で会議を重ね「やにこい二十歳のおもひで」として取り組むことにした。部員とつながりがあり、社会貢献活動に積極的なホームページやチラシ等の作成を手掛けるNPOブルーレーベル(田辺市)のメンバーが撮影を担当した。

 今回はコロナ感染予防のため町内の少人数を対象にし、同町堺の洲賀崎優太さん(20)と百々さん(20)夫妻、ベトナムから町内で技能実習しているホアンさん(20)の3人が参加。絶好の天候に恵まれ、南部海岸や山内地内の新福寺で撮影に臨んだ。

 京都市出身の優太さんは「京都で1月にあった成人式に出られなかったので、こんな機会をもらえてありがたい」、百々さんも「いい記念になりました。やってよかった」と笑顔。ホアンさんも「きれいな着物が着れてうれしかった」と喜んでいた。

 岩本部長と冨士副部長は「これで終わりではなく、年内をめどに続けたい。写真撮影に限らず、ほかのことでも新成人のニーズにできる限り応えていきたい」と今後も応援していくとした。問い合わせは商工会℡0739723225。

写真=門出を祝う打ち上げ花火

写真=撮影会に参加して笑顔の新成人(新福寺)