生後まもなく言葉をしゃべり、大人になると一度に10人の話を聞き分けた。天皇に即位することなく没したが、どの天皇にも負けず劣らず有名で日本人に愛され続ける皇族、聖徳太子である。今年は1400年遠忌に当たるそうで、ゆかりのある寺院では法要が営まれていると、大手新聞の報道で知った。聖徳太子は実在したか否か論争にもなっているが、それはさておき、太子を心のよりどころとしてきた人がたくさんいることは、今もこうして法要が営まれていることに裏付けられている。実在うんぬんは分からぬが、多くの人の心の中にいるのは間違いなさそうである。
教科書で習った聖徳太子といえば、十七条憲法が頭に思い浮かぶ。といっても一体どんな憲法だったのかを知ろうとはしなかったので、いまさらながら少し調べてみた。第1条は「和を以て貴しとなし、忤(さから)うことなきを宗とせよ」とある。憲法といっても今とは違い、役人の心構えを示したものだが、最初に「和」を明記しているところに、今日まで大切に受け継がれている日本人の心があるように感じる。当時は争いごとが絶えず、混乱した世の中だったというのも背景にあるといい、和の心が困難を乗り越え、人々を安定に導くのは今も昔も同じだ。
5月3日は憲法記念日。今とは趣は違うが、十七条憲法は日本最初の憲法である。新型コロナ禍、今の世も混迷の中にある。感染者に対する差別、欧米ではアジア人に対する暴力事件も起こっている。誰かのせいにしても問題は解決しない。今、最も必要なことは争わない、仲良くする、まさに和の心だろう。1400年経っても大切にしたい気持ちである。(片)


