仁坂吉伸知事は7日、定例会見を行い、ここ数日で新型コロナウイルスの感染がさらに拡大し、変異株による病床ひっ迫の恐れも出ている状況について、「黄信号が出ている」と危機感をあらわにした。その上でカラオケを介しての感染が増えていることから、県民に対して「家族以外とのカラオケ自粛」を呼びかけるとともに、病床数の確保へ変異株感染者の退院基準を独自に見直したと説明した。

  県内では先月30日から今月5日まで7日連続で10人台の新たな感染者が確認され、6日には20人となり、7日午後の発表ではさらに増える見通しであることを報告。仁坂知事は「コロナがえらくはやってきたので、県民へのお願いレベルを引き上げたい。県内ではカラオケで友達に感染する例が多くなっている。うつりやすいのは変異株のせいだと思うが、カラオケは少人数であっても家族以外とはしないでいただきたい」と呼びかけた。また、「大阪で感染して県内に持ち込み、家族や同僚にうつるケースが多いので、引き続き大阪での飲食はやめてほしい。仕事や通勤は仕方ないが、大阪への不要不急の外出も控えてほしい」とした。

 カラオケに関する自粛要請は以前、田辺に出したことはあるが、県全体を対象とするのは初めて。自粛期間は「しばらくの間」とし、様子を見て解除する。店側に対しては「営業自体の自粛を求めるものではなく、義務でもないが、協力していただきたい。カラオケ客が減少するようなら、状況を見て支援するか考えたい」と述べた。

 変異株は県内で計102人が確認されており、入院中は6日現在、164人。病床数330床に対する使用率は約50%となっており、仁坂知事は「病床は最大400床まで増やすことができるが、パンクの恐れが出てきた」と指摘。変異株に関する国の基準では入院後、2回連続でPCR検査の陰性が確認されれば退院としているが、これでは退院が長引く場合もあった。県では7日から独自基準を運用していると報告。有症状者は発症日から15日間入院したあと自宅療養に切り替えて2回連続で陰性が確認されるのを待つ形にし、病床数のひっ迫を防ぐ。