日高地方の県立高校の卒業式が1日、各校で行われた。日高、紀央館、南部では、新型コロナの感染対策として出席者数を制限したり、校歌をスピーカーで流すなど内容を変更して実施。答辞では、コロナ禍で変わった学校生活を振り返りながらも、厳しい環境を乗り越え未来へ向かって前向きに歩むことを決意し、3年間の学び舎を巣立っていった。

 日高では普通科196人、総合科学科38人の合計234人が卒業。答辞では橋本昴君が「コロナは大会や行事、日常などいろいろなものを奪っていきました。ただその中で、日常の大切さを知ることができ、代替大会や行事の開催で多くの方から支えて頂きました。コロナで変わり続ける社会に不安はありますが、私たちはこの経験を前向きにとらえ、日々成長していくことを誓います」と決意を述べた。村岡宏起校長は「常に希望をもって取り組み、それが失望や挫折に終わっても、その苦しみを通過する中で新たな希望が生まれます。その繰り返しが充実した人生につながります」とエール。在校生の送辞は、生徒会長の中村光希君が務めた。

 紀央館では、普通科157人、工業技術科35人の合計192人が巣立った。久原享校長が各クラス代表に卒業証書を授与し、「思いやりの心、生まれ育った故郷、他者とのコミュニケーション、その3つを大切にすることをお願いしたい」とはなむけの言葉を贈った。卒業記念品として製氷機が贈られ、代表の塩谷拓哉君から目録贈呈。今年は在校生の送辞はなく、卒業の言葉を代表の藤原風輔君が述べた。部活の仲間との絆、恩師や両親に感謝し、「私たちはこの先コロナ世代と呼ばれるが、コロナに苦しめられた世代ではなく、厳しい環境に耐え抜きコロナを乗り越えた世代。3年間の絆を大切に、ずっと皆とつながっていきたい」と思いを込めて力強く述べ、保護者ら出席者から大きな拍手が送られた。

 南部では普通科94人、食と農園科67人の161人が卒業。拍手の中、卒業生が入場し、国歌や校歌は声に出さずに心の中でうたった。神藤恭光校長は式辞で卒業生の3年間の努力をたたえた上で、よき社会人になるための3つのアドバイスとして、高い志を持ち主体的に行動して社会に貢献する、互いに尊重し合える人になる、一歩踏み出す勇気を持つを挙げ「迷ったとき、リスクを冒してでも一歩踏み出す方が自分を成長させてくれる。昨日までの自分を超えてください」とはなむけの言葉を贈った。卒業生の野見山あかりさんは答辞で教諭や家族に感謝を述べ「手を差し伸べてくれた皆さんへの感謝を忘れず、人との出会いやつながりを大切にしながら困難を乗り越え、前に進んでいきたい」と決意を込めた。