学校や地域が取り組む優れた防災教育を顕彰する2020年度「ぼうさい甲子園」(1・17防災未来賞)の受賞校・団体が決まり、県内からは印南町、印南中学校(野田明校長)が中学生部門で最高賞のぼうさい大賞に選ばれた。同校ではこれまでも優秀賞や奨励賞を受賞したことはあったが、大賞は初めて。生徒が1泊の避難所生活を体験する防災キャンプの取り組みが評価された。

 ぼうさい甲子園は兵庫県、毎日新聞社、人と防災未来センターが共催。小学生、中学生、高校生、大学生、特別支援学校・団体の5部門あり、今年度は全体で144件、うち中学生部門は34件の応募があった。

 印南中では3年生が以前から積極的に防災学習に取り組んでおり、これまでも避難所運営や車椅子を使った災害時援護者の支援体験、太陽光で湯を沸かす「太陽傘」などの学習を行ってきた。ぼうさい甲子園では2010~12年度まで奨励賞、13~15年度が特別賞、16・17年度が優秀賞、19年度が奨励賞を受賞している。

 今年度は3年生36人が10月15日、講師を迎えて避難所生活について学習し、同月23・24日、印南避難センターで1泊する防災キャンプを体験。かまどベンチで火をおこして湯を沸かし、カップラーメンなどの非常食を食べたり、避難所生活で少しでも気分がリフレッシュできるようにと、みんなで考えたゲームを行ったりした。男子は屋外で1人用テント、女子はセンター内で段ボール間仕切りのスペースを作って就寝。朝は再びかまどベンチで火をおこし、朝食を取った。

 グループワークで避難所生活の感想も出し合い、夜の寒さや食べ物が足らず空腹を感じること、みんなが楽しめるレクリエーションの大切さなどを実感した。

 担任の笹野覚教諭と芝光世教諭は「子どもたちがよく頑張ってくれた。避難所での宿泊を体験することで、課題も見えてきたので、町などとともにみんなで対策を考えるきっかけになれば」と話している。

写真=かまどベンチで火おこし体験