11月は大阪で都構想の是非を問う住民投票、アメリカで大統領選という大接戦の選挙が行われました。アメリカは以前もテーマにしたので、今回は大阪です。

 大阪学 世相編○(大谷晃一著、新潮文庫) 20年ほど前の出版で、ベストセラーとなった「大阪学」「続大阪学」の続編。大阪人の「あるある」的な言動に注目し、あえて学術的に解説しているのが読みどころ。著者も大阪出身。

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 実は、座席には規則がある。電車の座席の幅は、鉄道営業法の普通鉄道構造規則で旅客一人につき四〇〇㍉以上とされている。JIS規格では一人に四三〇㍉を原則としている。ロングシートは三人掛け、五人掛け、七人掛けというように決まっているのだ。とくに大阪では、それをきちんと座っていないことが多い。(略)

 東京では、早くからJRも私鉄も定員通りに厳格に座ってもらおうと苦労している。一人分ずつ模様や色分けをしたり、凹凸をつけたり、後ろに何人掛けと表示したり。大阪でもようやくJR西日本や市営地下鉄や阪神電鉄が区分けの表示をするようになった。しかし、まだまだ阪急電鉄以下の私鉄の多くは不熱心である。「座席を指定するつもりはおまへん。それはお客の勝手でっせ」という態度である。せめて何人掛けかを表示したらとある大阪人に話したら「ほんなら、コニシキが座ったらどうするねん」と理屈をこねる。これが大阪である。