仁坂吉伸知事と紀南17市町村長の新政策にかかる懇談会が23日、田辺市の県立情報交流センタービッグUで開かれた。三浦源吾御坊市長は、今月中に新型コロナウイルス感染者の入院基準を重症化しやすい高齢者などに限定するという国の方針について質問し、仁坂知事は「これまで通り全例入院の方向を変えるつもりはない」と明言、県独自のスタンスで感染拡大予防に努めることを強調した。

 県はコロナ感染者の早期発見のための積極的なPCR検査、早期隔離のための全例入院、感染源の探求や濃厚接触者特定のための徹底した行動履歴調査を行い、感染の爆発的な広がりを抑えてきた経緯があり、来年度の新政策でも「保健医療行政の充実でコロナに打ち勝つ」の中に、これまでの施策の継続を盛り込んでいる。これに関連して三浦市長が「県のようにクラスター対策ができていれば、コロナで病床が逼迫(ひっぱく)することはない。これまで通りのコロナ患者全例入院を徹底してほしい」と求めた。

 仁坂知事は「東京や大阪などはコロナ患者が制御できず、病院関係者や保健所が疲弊している。そういうところに対して今回、国は道を開く。しかし、軽症者が入院せずウロウロすると、多数の人に感染させる恐れもある。重症化して入院しても手遅れということもある。そうしたことから和歌山県では感染者全員を入院させている」と説明。「それができないとこれはやばいぞということになり、県の独自の判断で対応してもいいようにしていただいた。和歌山県はいままで通り、全員を入院させる」と約束した。

 このほか、籔内美和子美浜町長からはコロナ禍の中でも1人目の子どもから安心して出産、妊娠できる環境整備の充実について要望があり、仁坂知事は「これまで3人目を生んでもらう政策をしていたが、1人目から生んでもらえるようなことも真剣に考えていきたい」と述べた。

 真砂充敏田辺市長からはワーケーションやリモートワークの一層の推進、串本町のロケット発射場建設に伴うさらなる経済効果を求める声もあった。

写真=市町村長を前に考えを述べる仁坂知事