新型コロナの影響で小中学校の修学旅行が延期、行き先の変更等を余儀なくされるなか、日高地方3市町観光関連事業者等が14日、初の体験型修学旅行を受け入れた。訪れたのは和歌山市の日進中学校(北野美江校長)の3年生。御坊市でハーバリウム、日高町で黒竹民芸品、美浜町ではシーグラスボールペン、流木のウェルカムボード制作を体験した。

 日進中の修学旅行は例年、関東方面を2泊3日で訪れ、ディズニーランドやスカイツリーなどを巡っていたが、今年は1泊2日で、日高地方や田辺市で各種体験を行った。熊野古道や那智の滝を訪れ、串本に宿泊。2日目はアドベンチャーワールドで動物とのふれあいを楽しむ。

 体験は5クラス約200人がクラスごとに、日高地方の4コースと田辺市(備長炭の風鈴作り)に分かれて実施。美浜町三尾のアトリエビアンコ(えんどうひとみさん主宰)で行われた「流木でウェルカムボードづくり」には36人が参加した。

 最初に浜で制作に使う流木や飾りに使うシーグラス、貝殻などを集めたが、生徒たちは磯遊びにも夢中。えんどうさんに教わりながら、集めた流木にボンドで貝殻を貼りつけたり、絵の具で文字を書いたりして、思い思いの作品作りを楽しんでいた。

 生徒たちは、例年通りの修学旅行に行けなかったことは残念そうだったが、美浜町に初めて来たという子も多く、「海がすごくきれい」「流木での制作がめちゃ楽しい」と笑顔を見せ、臨時休校の影響で、忙しい授業スケジュールや行事の縮小などで過ごしてきたこれまでの分を取り戻すように楽しんでいた。

 波床勘友(はとこ・かんと)君は、「東京の修学旅行を楽しみにしていたけれど、これまでにない経験ができる修学旅行は特別な思い出になります」と話していた。

 和歌山市は中学校の修学旅行先を県内に決め、各校で詳細を決定。日進中は「日ごろできない経験を自然や伝統に触れながらできるように」と体験型の旅行を検討し、行政と民間の広域連携による体験型観光推進の一環として、教育旅行の誘致に取り組んでいた日高地方で受け入れが決まった。

写真=楽しそうに流木工作を体験する生徒(美浜町のアトリエビアンコで)