縦割り行政・規制改革を旗印に、行革担当大臣に河野太郎元外相、防衛大臣には安倍前首相実弟の岸信夫元外務副大臣を据えた菅総理と政権に、マスコミ各社調査の支持率は軒並み60%を超えた。

 しかし直後、女性への性暴力をめぐる問題発言の杉田水脈議員が党の名を貶めた。報道陣から逃げ回り、自分の口で説明せず、あげくは前言を翻してブログで謝罪。あまりに不誠実な態度に国民はあきれ、「言語道断」との世耕参院幹事長の怒りも当然であろう。

 続けての日本学術会議の任命除外。首相が推薦通り全員を任命しなかったのは初めてで、それが法律に触れるわけでもないが、外された6人はいずれも安倍政権下で成立した安保法制等に批判的だった。当然、野党と一部マスコミはモリ・カケ級の大騒ぎである。

 改革を実行し、岩盤規制を打ち破るには時間がかかる。政権が公約通り、国民のために仕事をするには、前例を覆す決断と実行力が必要で、それ以上に痛みを伴う改革の際は国民への説明力が求められるが、今回のような痛くも痒くもない学者の既得権益の剥奪は別であろう。

 菅首相が進めるハンコの廃止や携帯料金の値下げは軽いジャブ程度の話で、年金制度、歳入庁の創設など財務省とのガチ対決となるタフな課題は山積しており、こんなことで支持率が落ちるようでは話にならない。

 騒ぎは続くだろうが、国民にとって大切なのは目の前のコロナと経済対策、わが国の領土と日米分断を狙う隣国からの防衛、拉致された同胞の救出であり、正直、学術会議の会員が何人減ろうが関係ない。

 とはいえ、首相が言葉足らずで前のめりに見えるのも確か。一定の支持率低下は覚悟の上。改革への鋼の意思を感じる。(静)