バレーボールの元男子日本代表監督で大阪商業大学バレー部総監督の植田辰哉氏(56)が12日、みなべ町の上南部小学校を訪れ、南部バレーボールスポーツ少年団の練習を視察した。植田氏は20年、30年先に日本バレーが世界のトップで活躍できるよう、U12(12歳以下)、U15世代のアカデミー設立を目指しており、南部少年団の体づくりの練習を絶賛していた。

 2005年から13年まで男子日本代表監督を務め、北京オリンピックにも出場を果たすなど輝かしい経歴を持つ植田氏は、日本バレーの底上げを図ろうと、小学生と中学生のアカデミー設立に奔走している。小学生年代は勝敗よりも、柔軟性やバランス感覚を養い、正しい動きとバレーを楽しむことに重点を置いた指導が必要で、南部が体づくりを練習に取り入れていることを聞きつけ、今後の参考にしようと訪れた。

 この日は小学生と中学生も加わり、男女約50人が集まった。土日は基本的に誰でも自由に参加できる一日練習で、倒立やブリッジ歩行、鬼ごっこ、跳び箱などバランス感覚や関節の可動域を広げる運動を実践。ボールを使った練習では、上級生が下級生にトスを上げてアタックを打たせたり、1年から6年まで縦割り班のチーム編成でゲーム形式を楽しむなど笑顔があふれる練習が行われた。

 石上貴一監督から話を聞きながら選手たちを見ていた植田氏は、「股関節周りの柔軟性を高める動きや倒立といったバランス感覚を養う練習など、非常に理にかなっていて素晴らしい。子どもたちが楽しそうに取り組んでいて、アカデミー立ち上げの参考になった」と評価し、「世界のトップであるブラジルの指導者に、日本は30年遅れているといわれた。ブラジルは各世代別のカテゴリーが確立され、年代に応じた体づくりや技術指導ができている。日本でも年代別のアカデミーを作りたい。まずは大阪か故郷の香川県でスタートさせ、全国に広げたい。いますぐ日本が躍進できるわけではないが、20年、30年後に日本バレーの隆盛の土台を築きたい」と熱い思いを語った。

 石上監督は「日本のバレーを考える中で一つのモデルとして、南部の練習に興味を持っていただいたことはうれしい。少子化やスポーツ離れがいわれていますが、子どもたちの体力づくり、バレーを楽しめる場をつくることで、将来、選手として羽ばたいてもらえるクラブづくりを続けていきたい」と話した。

写真=石上監督と練習を見学する植田氏㊧