厳しい残暑が続くが、仕事は今年も一つの山を越えた。真珠湾攻撃から70年目の2011年から始まった8月の連載。今年は7人の戦争体験者にスポットを当て、本人や関係者に話をうかがった。

 年々、戦争体験者が少なくなっていくなかで、いま話を聞いて記録を残さなければ…。すでに機を逸した感もあったが、開戦から70年という節目を迎え、記者としての自分の力を試す意味もあり、ある種の使命感に駆られて挑戦した。

 今年で10年、取材班としてざっと80人ほどにお話をうかがったが、自分が直接お会いした方だけでも、何人が鬼籍に入られただろう。あの人もこの人も、思い浮かぶだけで両手に余る。

 遠い記憶をたぐりながら、訥々と語られる戦争体験者は、異口同音に「戦争は二度と繰り返してはならない」という。記者はそのたび、身につまされる思いでメモをとり、その言葉を何度も何度も記事に書いてきた。

 戦後75年間、日本は戦争を引き起こすことなく、幸運にも仕掛けられることもなかった。すべての国民が戦争を憎み、平和を心から望み、自由と民主主義、人権が尊重される社会を築いてきた。

 いま、日本を取り巻く安全保障環境は80年前の開戦前と同様、あるいはそれ以上の危機にあるともいわれ、沖縄県の尖閣諸島には、中国の武装漁船がいまにも大挙押し寄せようとしている。国民の求める「平和」の意味が問われている。

 国家の自主独立、国民の生命と財産、自由を守り、ミサイルが飛んでこないようにするために憲法を改正すべきか。それとも、日本が領土を奪われ、ウイグルや香港のようになっても、ミサイルが飛んでこない国を望むのか。平和以上に守るべき大切なものがあるはずだ。(静)