終戦の日の15日、日高町中央公民館で戦争に関する遺品や資料を集めた「語り継ぐ戦争と平和資料展」が開かれた。今年はコロナ禍で一日だけの開催となったが、子ども連れの家族や30代、40代の比較的若い世代も多く、約150人が来場。萩原に住む元特攻隊員花道柳太郎さん(95)が所有する陸軍の極秘資料のコピーなどに見入り、戦後75年の節目に反戦、平和への思いを新たにした。

 主催は憲法改正に反対する立場の日高町平和を願う9条の会(田中薫代表世話人)。戦争の実態を調べ、体験者の記憶を聞き、若い世代に語り伝えていく活動の一環として、展示会は毎年夏に1週間程度開催しているが、コロナ禍の今年は来場者の感染防止対策を徹底し、15日のみの開催となった。

 展示内容は、出征兵士の戦場での無事を願う千人針、特攻隊員に贈られた日の丸の寄せ書き、中志賀の山に落ちた焼夷弾の破片など。戦争末期、陸軍重爆特攻隊員として沖縄の海に出撃しながら敵を見つけることができず、生還した花道さんからは、幻の特攻機ともいわれる「さくら弾機」の機体の一部などが展示され、特攻隊員用の心構えなどを示す極秘資料「と號機空中勤務必携」も来場者の関心を集めた。

 御坊市湯川町富安の山田慈子さん(88)は13歳で終戦を迎え、今回の展示には「国民学校、女学校時代は勉強そっちのけで、農家の勤労奉仕に行ったり山で拾い集めたどんぐりの実を(戦闘機の燃料用に)供出したり、千人針に針を通したことなんかも思い出しました。これからも平和が続くことを願っています」。祖父、父と一緒に来た内原小学校6年生の中津凛香(りこ)さん(11)は、「ドラマや映画で戦争のシーンを見たことはあるけど、展示されている本物の兵隊さんの写真や資料は生々しく、戦争の悲惨さや怖さをすごく感じました」と話していた。

写真=日の丸の寄せ書きなど展示に見入る来場者