美浜町のNPO法人日ノ岬・アメリカ村(小薮清信理事長)主催、絵本「工野儀兵衛ものがたり」出版記念原画展が31日まで、三尾のカナダミュージアムで開かれている。

 カナダ移民の先駆者工野儀兵衛の生涯をつづった絵本で、文は三尾の語り部から指導を受けた美浜町出身の柳本文弥さん、絵は地元で創作絵画教室アトリエビアンコを主宰するえんどうひとみさんが担当。幕末の安政元年(1854年)に生まれ、カナダのバンクーバーに渡ってからはサケ漁に従事しながら移民の「パイオニア」としてわたってくる人々の手助けをして郷土の発展に功績を遺した工野儀兵衛の生涯を26㌻の絵本に仕上げた。

 今回は12枚の原画を展示。大工だった儀兵衛だが、三尾港を整備する大仕事が実現せず挫折。いとこに勧められてカナダに渡航し、サケ漁に等に従事して「フレザー河にサケが湧く」と郷里の人々を呼び寄せ「カナダ移民の父」と呼ばれた。絵本では美しい色彩と生き生きした表情で、儀兵衛の波乱の生涯がつづられる。

 初日に町内から訪れた30代女性ら4人のグループは、三尾たかえ館長の案内で館内を見て回り、使い込まれて艶のある木製の家具や床などに「落ち着いた雰囲気」と感心。

 三尾館長は「向こうでも日本の音楽を聴きたい、と浪曲のレコードを聴いた人が多かったようで、遺品の中にはそんなレコードもよくみられます」など移民の生活についても説明し、来館者は興味深く聞き入っていた。

写真=美しい原画に見入る来館者