少し記憶があいまいだが、十数年前に和歌山ビッグホエールで海外のサーカス団の公演を見たことがある。それまでテレビで観たことはあるが、生は初めて。空中ブランコや動物のショーなどが迫力満点で、見入ってしまった。

 現在、国内には「木下大サーカス」や「ハッピードリームサーカス」などの大きなサーカス団があるが、そのハッピードリームサーカスから独立し、印南町に拠点を置く「さくらサーカス」が23日、同町宮ノ前の特設テントで旗揚げ公演を行う。すでに記事でも紹介した通り、南米コロンビア共和国出身のアラン・マルチネスさんが経営するサーカス団で、妻の小深田尚恵さんと0歳から24歳までの子ども合わせて14人という大人数のサーカス一家。他の家族やスタッフも入れると、サーカス団は24人おり、小深田さんが「みんなが家族」と話していたのが印象的。これまでにも世界のサーカスフェスティバルで最高金賞を受賞するなどその実力は高く評価されており、団結力の強さが、ステージでの素晴らしいパフォーマンスにつながるのだと思う。時には厳しい指導もあるだろうが、命にかかわるショーだけに、常に真剣勝負で臨んでいるのだろう。

 マルチネス一家は印南町に7年前、高速ICが近く、環境のよさが気に入って土地を購入して移住。今回の公演に際して、特設テントを建てる用地は、地元企業から安く貸してもらっている。「お世話になった印南町に恩返ししたい」。そんな思いの旗揚げ公演は、10月11日まで開催しており、生でサーカスが観賞できるチャンス。コロナ禍の暗いムードを吹き飛ばすような、夢いっぱいのステージに期待したい。(吉)