大手サーカス団から独立して、印南町を拠点に新たに立ち上がった「さくらサーカス」の旗揚げ公演が23日から10月11日まで、宮ノ前に設営された興行用テントで行われる。南米コロンビア共和国出身のアラン・マルチネスさん(42)が経営し、世界的にも高い技術が認められている大家族のサーカス団で、「お世話になった印南町に恩返しがしたい」と、この地での開催を企画した。

さくらサーカス団員は出演者やスタッフ合わせて24人。うちアランさんと妻の小深田尚恵さん(36)には0歳から24歳までの子どもが12人。大人数のサーカス一家としてNHKや日本テレビで取り上げられたこともある。また、サーカスでは綱渡りで2つのギネス記録を保持。さらに次男ダビッド君(19)と四男嵐君(13)のマルチネスブラザーズは今年2月、サーカス界のアカデミー賞といわれるモンテカルロフェスティバルに出演。寝そべったダビッド君の足裏に乗って嵐君が風車のように回転する大技を披露し、見事、最高金賞を受賞した。モナコやロシア、アメリカ、スペイン、中国のフェスティバルでも金賞を総ナメにしている。

小深田さんは埼玉県出身で、自宅近くで行われていたサーカス公演でアルバイトをしている時に団員のアランさんと出会い結婚し、サーカスの世界に入った。7年前に、高速道路ICが近く環境のよい印南町津井が気に入って土地を購入。別のサーカス団に所属していたが、新たに自分たちのさくらサーカスを立ち上げることを決意した。地元企業から宮ノ前の土地を借りて、今年に入って興行用テントの設営も進めてきた。当初、5月に旗揚げ公演を行う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期。旗揚げ公演に際し「土地の購入やテント用地の賃貸などで地元の人には大変お世話になり、ぜひ初公演は印南町でと思っていました。地元の人によると、約50年前に田辺市内で開催された木下大サーカスの公演がとても思い出に残っているそうです。私たちも、いつまでも思い出に残してもらえるステージができれば」と張り切っている。

公演スケジュールは23・24日のグランドオープンがいずれも午後1時半から。以降、平日は午前の1回、または午前と午後の2回公演。土日祝は午前と午後の2回、または午前1回と午後2回を開催。休演日も設けている。チケットはA席子ども(3歳~中学生)1200円、大人(高校生以上)1800円。ボックス席が子ども2000円、大人2500円。いずれもお得な前売り券を販売中。問い合わせは印南公演事務局℡050―8880―6545。

写真=印南公演のポスターを手にダビッド君(左)と嵐君㊤と、宮ノ前の更地に建設されたサーカステント