3日からの雨で、全国各地で河川の氾濫や家屋の浸水、土砂災害が起こった。特に九州の被害が甚大で、7県で74河川が氾濫し、住宅地に濁流が流れ込んだ。この被害をもたらしたのは、活発化した梅雨前線。水蒸気を大量に含んだ温かい空気が南から流れ込んだことで、各地で積乱雲が発達。線状降水帯が形成、九州南部にかかり続け、記録的な大雨となった。

 4日の早朝、テレビをつけると熊本、鹿児島両県に大雨特別警報が出ていて、「ただちに命を守るための最善の行動を」と繰り返されていた。「大雨特別警報」は、従来の気象警報の発表基準をはるかに超える豪雨が予想され、広い地域で50年に一度という激しい雨が続く場合など、過去に大きな被害を出したような災害が起こる可能性が著しく高い時に出される。異常事態を伝えるため2013年8月に導入されたが、導入から毎年国内のどこかの地域で発表されており、今回は、福岡、佐賀、長崎、岐阜、長野でも発表。福岡はこれで4年連続となった。

 昔と比べ、豪雨災害のリスクが高まっている要因の一つとして地球温暖化が挙げられている。海水温の上昇も台風などの発達に影響し、50年に一度だった規模の豪雨が頻発。今後も避けられないだろう。

 今回起こった災害は、日本中どこででも起こりうる。「命を守る行動を」と言われたとき、近所の避難所にただ行けばいいわけではない。住む地域や周りの状況、家族の状態など様々で、個々の的確な判断が必要になる。日高地方でも降り続いた雨で山は水を含み、川は増水しているが、天気予報にはまだしばらく雨マークが並ぶ。安全に過ごすための選択肢や必要な備え、避難ルートなど、今一度確認、検討してみよう。(陽)