7月から始まるはずだった東京オリンピックが新型コロナウイルスの影響で1年程度延期が決まった。今まで世界大戦で夏季と冬季が計5回中止になったことはあるが、延期となるのは今回が初めてだという。出場権を獲得していた選手たちには気の毒だが、この状況ではやむを得ず、中止にならなかっただけでもよかったのではないかと思う▼女子競泳の日本のエースとして注目されていた池江璃花子選手も本来なら東京五輪の出場候補に名前が上がるはずの選手だった。しかし、昨年2月、白血病が発覚。その後は水泳から離れることを余儀なくされ、苦しい闘病生活が始まった。症状は回復に向かい、昨年12月には退院。今月17日には、「406日ぶりにプールに入った」とインターネットを通じて報告された。新型コロナウイルスで暗いニュースが連日報道されるなか、日本人の誰もが心を癒やされる明るい話題となったことだろう▼入院中は世界中から励ましの手紙やメッセージ、千羽鶴などがたくさん届いたという。それが回復への後押しになったことは間違いない。池江選手も苦しい治療に対しても弱音を一切言わずに病気と戦い、その姿は多くの人の心を打ち、同じように闘病生活を送る人たちに勇気を与えたといえる▼誰にも一度ぐらいは「苦しくてやめてしまいたい」「いまの状況から逃げ出してしまいたい」と思うことはあるはず。4月からは進学や就職で新しい世界に入る人も多いが、新生活では困難やトラブルはつきもの。それを克服するのは自分自身の能力だけでなく、自分が持っている目標や夢に対する情熱だが、人はそれほど強くない。何よりも周囲の支えが欠かせない。(雄)


