近畿農政局は新年度、梅の収穫時期の人手不足が大きな課題となっているみなべ町で、都会の企業の有給休暇を活用して収穫を体験する新たな取り組み「援農バケーション」を試行することを決めた。このほど町役場で農業者団体等に事業を説明する会議が開かれ、今月18日までに町内の農家3軒が試験的に実施する意向を示した。働き方改革を活用したアイデアが労働力不足の一助になるか注目されそう。
みなべ町は日本一の南高梅の産地だが、後継者不足や高齢化などに伴ってここ数年、収穫時期に人手が足りず、中には収穫できないまま放置を余儀なくされる園地もあり、労働力確保が大きな課題となっている。農業者団体や若手農業者が中心となって、ミカン産地の有田の農業者と互いに収穫時期に手伝う交流なども深め、課題解消に力を入れているのが現状だ。
近畿農政局では、産地の窮状を救う手立てはないかと検討し、国の働き方改革で有給休暇の取得が義務づけられたことに目をつけ、援農バケーションを企画、提案した。梅拾いは重労働ではあるが、特別な技術がなくてもできることや、みなべが日本一のブランドを確立していること、周辺に観光スポットがあることからも企業として対応しやすいという。
構想では、土日を含めて1週間の有給休暇取得を想定。農家側は宿泊場所や食事、交通費等を支給し、滞在期間中には休日も設け、近隣観光地を訪問することも盛り込んでいるが、具体的には今後、参加者と受け入れ農家とで話し合って決めることにしている。企業と農家のマッチングは近畿農政局が行う。すでに関心を持っている企業が数社あり、今年6月の収穫時期に試行したい考え。農家にとっては労働力確保の一助につながり、毎年恒例となれば作業内容の説明が不要となって効率が上がるなどのメリットが考えられ、企業側にとっても有給取得の推進や都会ではできない体験でのリフレッシュ、金銭的な負担も抑えられると期待されている。
取り組みを考えた同局経営・事業支援部経営支援課の岡本紘幸係長(40)は「まずは試験的に行って、企業と農家の両者にとってよりよい形になるようにしていきたい。もちろんこれで労働力不足がすべて解消するわけではありませんが、複合的な取り組みの一つに定着すればと願っています。互いの交流が深まり、産地のPRにもつながってほしい」と話している。


