新型コロナウイルス感染拡大の影響は、子どもたちのスポーツにも広がっている。本紙エリア内で最も盛んな学童野球は今月29日の2020年度シーズン開幕が見送られ、いまだに新たな日程を決められない状況。各チームでは学校が休校中の間の活動が認められておらず、〝球春〟の時期に入っても練習や試合は行われていない。保護者からは「なんとか例年通り大会をやってほしい」、指導者からは「練習、実戦不足が心配」などの声が上がり始めている。
県軟式野球連盟学童部日高支部では小学校の休校措置を受け、新年度加盟18チームに今月24日(一部を除く)までの活動停止を要請。同時に29日のシーズン開幕の延期、22日の審判講習会の中止なども決めた。29日に予定していた全チームが参加しての開幕式も実施するかどうかは今後の状況しだいとし、シーズン開幕の新たな日程などは今月中旬から下旬にかけて県学童部と調整しながら検討していく方針。夏季大会以降の公式戦の日程も一応は承認されているものの、状況によっては大きく変わる場合があるという。
開幕戦となる春季大会は、県大会から全国大会(マクドナルドトーナメント)へつながり、シーズン一番の目標にするチームも少なくない。学童部日高支部では当初、4月12日に閉幕予定だったが、開幕日の延期で日程順延は避けられないところ。4月25日まで計4日間の予備日を使っても試合を消化できないことが考えられ、関係者の不安は尽きない。
日高町に住む新6年生の保護者(42)は子どもの様子について「毎日、家で素振りや、家の周辺で兄とキャッチボールをしています。とにかく早くみんなと一緒に練習がしたいと言っています」と話し、「一生懸命に練習してきて、これが最後のシーズン。なんとか、いろんな対策をしてでも例年通りに大会をやってほしい」と一日も早いスケジュールの正常化を願っている。
一方、指導者の間でも、異例の3月に戸惑いが見られるようだ。昨年暮れの日高支部新人大会を制した上南部・大野智哉監督は「どこのチームも同じ条件で仕方がないのですが、例年ならすでに招待試合や町内大会に参加している時期。やはり練習、実戦不足の不安があります」。同大会準優勝の美浜・谷重幸監督は「大会ができるかどうか分からない状況が続き、子どもたちの技術面だけでなく気持ちの部分も心配です。6年生には例え無観客試合でもいいので春季大会(全国予選)に参加させてあげたい」とそれぞれ話している。
学童野球では今シーズンから投手の投球制限を導入。従来の一日7イニングまでが、一日70球までとなり、これまでと投手の起用法も変わってくる。ウイルス禍での実戦不足に新ルールが加わるため、各チームとも不安が増しているようだ。