県は18日、10代の男性、DМAT(災害医療派遣チーム)の30代看護師、自営業の60代男性の3人が、新型コロナウイルスに新たに感染したと発表した。うち10代の男性は先に陽性が出ていた済生会有田病院の50代男性医師の息子で、10代での感染確認は国内初。息子は父親が入院した日から自主的に学校を休んでおり、県は学校内で感染が広がっている可能性は極めて低いとの見解を示した。

 新たに陽性反応が出た3人はいずれも県内在住者。10代の男性については父親の医師と妻が14日に感染が確認されたことで、その日から自主的に学校を欠席。さらに濃厚接触者として17日に検体採取。18日陽性が判明し、医療機関に入院している。現在、発熱やせきなどの症状はない。学校名は公表されていない。 

 DМATの30代男性看護師は、13日から15日まで、横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で活動。13日には発熱患者の診療補助にあたっていた。15日に新横浜から新大阪まで新幹線を利用し、その後自家用車で帰宅。発熱があったため17日から入院し、検体を採取していた。国の要請に基づくDМATの派遣は県内から3チームあり、今回の男性看護師とは別チームの1人にも現在発熱があり、検査している。

 自営業の60代男性は11日、基礎疾患のため済生会有田病院3階外科病棟に入院。この病棟の医師や患者から13日以降陽性反応が出ていたため、濃厚接触者として14日に検査したが、その時点では陰性。16日夜間に発熱があり、17日に再検査したところ陽性が判明した。

 この3人を含め県内での感染は計12人。18日会見した仁坂吉伸知事は10代の感染について、「むやみな詮索はやめていただきたい。あの子にうつっているとか、バイキンを持っているとか言っていじめがあってはいけない」と指摘。「子どもは早い段階で学校を休んでおり、学校の他の子どもたちは濃厚接触者というべきではない」とし、現在、他の子どもに疑わしい症状もないことから、学級閉鎖や検査の必要性がないと強調した。

 また、前日に感染を発表した50代男性についても言及し、「パチンコの常連客ということで、そのパチンコ店は自発的に休業している。スタッフについては検査している」とした。さらに、「今後も和歌山市や大阪府の協力を得ながら看護師や患者ら残り350人ぐらいの検査をスピードアップして進めたい」と述べた。

 県教育委員会は18日、県内の市町村教育委員会や学校に対し、新型コロナウイルス感染症への対応の徹底を要請した。

 ▽子ども同士の心ない言葉や態度、SNSなどにより子どもたちが傷つくことがないよう指導▽同居家族に陽性者がいると判断した児童生徒は、2週間出席停止の措置▽児童生徒あるいは教職員本人が陽性と判明した場合、保健所から支持を受け従う▽濃厚接触者や感染者にかかわる外部からの問い合わせには「個人情報であるため答えられない」と回答▽せきエチケットや手洗いの指導徹底――などの対応を求めている。

写真=記者会見で感染状況を説明する仁坂知事㊧