高校の硬式野球部で32年間監督を務め、南部高校を甲子園に4回導いた名将、井戸大志さんが18日、死去した。68歳だった。

 南部高校から東海大学に進み、卒業後の1974年4月、高校教師に採用。南部高校には78年に赴任し、コーチ、部長を経て81年8月に監督に就任。以後、2013年夏の大会まで通算28年間にわたって同校監督を務め、4回甲子園に導き、元阪神タイガースの浜中治さんらプロ野球選手も輩出した。地域住民や関係者からは「イドカン」の愛称で親しまれた。高校野球の指導者を引退後は、中学生硬式野球の南部リトルシニアの監督も務めた。

 訃報に教え子たちは驚きとショックを隠せず、在りし日の恩師を思い浮かべた。1992年春の選抜に出場し、2番遊撃手として活躍した湯川綾さん(45)は「指導熱心で、練習は厳しかったが、厳しい中にも思いやりがあったし、野球を離れると本当にやさしい先生だった。やっぱり一緒に甲子園に出場したことが一番の思い出です」と28年前を振り返った。

 弟で中学校教諭として野球部を長年指導した井戸和彦さん(65)は「野球一筋の野球バカでしたが、本当に優れた指導者で、同じ野球の指導をしていた者として尊敬し、また目標にした兄でした。68歳でこの世を去るのはやはり早いですが、亡くなった日も朝からひっきりなしに教え子たちがお悔やみに来てくれて、野球を通じて多くの人に関われたことは幸せだったと思います」と話した。

 井戸さんは18日午前9時39分、病気療養中のところ入院先の白浜はまゆう病院で死去。通夜は20日午後7時、告別式は21日午前10時からいずれも田辺市高雄2丁目17―28、メモリアル木村で。自宅はみなべ町山内1069―2。喪主は長男久修(ひさのぶ)さん。