和歌山県は県土面積の4分の3となる36㌶の森林面積を誇り、木の国ともいわれる。山を見ながらのドライブはなんだか心が癒やされるが、一見青々とした立派な山も、実は荒れているらしい。和歌山県の場合、森林の95%は民有林で、その6割はスギ、ヒノキの人工林。人工私有林の7~8割は手入れされていない放置林で、太陽の光が地面まで届かず下草や腐葉土がたまらないため根が育たず、降った雨が表土を流し、次第に岩だらけの山肌になる。保水力が機能せず、昨今の大雨による災害に直結しているという。
先日みなべ町で開かれた環境シンポジウムで、日本熊森協会会長で弁護士の室谷悠子さんが森林を守るために何をすべきか熱弁を振るった。山を豊かにする広葉樹の森が人工林に変わったことは生態系にも大きな影響を及ぼし、絶滅危惧種のツキノワグマはエサとなるドングリがなくなり、人里まで下りてくるようになった。「生き物が棲めないような森は、土砂災害や水害を引き起こし、人の命や財産を奪っているのが現状」という言葉が胸に響いたのは筆者だけではなかったろう。
ではどうすればいいか、対策も具体的だった。人工林を伐採し、広葉樹を植栽して自然の森に戻すのだ。これまで23年の活動で全国30カ所で広葉樹を植栽している。もちろん地域住民の協力なくしてできない。2020年度以降、国民1人1000円を徴収して森林を整備する財源とする森林環境税が導入される。室谷さんも訴えておられたように、この税を活用して人工林を広葉樹の森に戻すのを進めることが、山や川と暮らす住民にとって最も有益。木の国の各自治体は率先して取り組むべきだ。(片)


