地域住民が一体となって森林環境をよくしていこうと、みなべ川森林組合主催の「世界農業遺産環境シンポジウム」が18日、みなべ町役場で開かれ、町内外から約60人が参加した。奥山保全や森の再生活動に取り組んでいる日本熊森協会会長で弁護士の室谷悠子さんが講演で、放置されている人工林を広葉樹の天然林に戻す取り組みの必要性を訴え、「豊かな森を次世代へつなごう」と呼びかけた。

 兵庫出身の室谷さんは中学生のとき、当時の南部川村清川で山が荒れてエサがなくなりツキノワグマが人里に現れた記事を読んだのをきっかけに、「環境破壊という原因を作った側の一人として、ツキノワグマの絶滅を止めることをしなければ」と活動を始め、今はクマの棲む豊かな森を次世代へつなぐ活動に取り組んでいる。

 森は広葉樹の大きな根や大量の落ち葉、ふかふかの土壌によって農業や林業、漁業、工業などあらゆる産業を支える基盤となっていたが、戦後の森林政策によって大量に破壊され、日本の森林全体の4割がスギ、ヒノキの人工林になっていると説明。紀伊半島は6割を超えており、外から見れば青々して美しい人工林も、実際は私有林の7~8割が間伐等がされず放置されている。間伐がされないと日光がさえぎられて下草や腐葉土がたまらないため根が育たず、保水力をなくし、湧き水も減少、降った雨が表土を流して災害等も引き起こしており、「生き物が棲めないような森が人の命や財産を奪っているのが現状」と警鐘を鳴らした。

 さらに、かつてのように人と動物が共存できるよう、奥山、尾根、山の上3分の1、沢筋、急斜面の5カ所を自然林に戻すことを提唱。「森林環境税で放置人工林を天然林化させたい。人工林を切って、広葉樹を植えて山を再生させる。50年、100年かかる大変な作業だが、地域が一体となって豊かな森を次世代へ残していこう」と行動を起こすよう求めた。

 NPO法人Bee Forest Clubの吉川浩代表は日本ミツバチが減少している現状から同じく森林環境について講演し、「ミツバチがいない森はどんぐりも少なく、動物たちも棲めなくなり、川や海の生物も減って農業や漁業に大きな影響を及ぼす」と危惧。日本ミツバチを増やすために巣箱の設置等の事業を行っており、「犬や猫を飼うように、いつかは一家に1箱の巣箱がある、そんな風になるように活動していきたい」と協力を呼びかけた。

写真=地域一体で森林環境改善に取り組むよう呼びかける室谷会長