講師を招いて新技術や防災について聴く和高専・次世代テクノサロン(和高専地域活力支援研究会主催)が20日、御坊市内のレストラン花ご坊で開かれ、和歌山高専生物応用化学科の楠部真崇准教授が研究成果で講演。微生物の力で砂を固めるバイオセメントを活用した環境に優しい藻場の再生方法を説明し、エコな漁場回復の可能性を示した。
藻場は海草や海藻などの群落のことで、エビや小魚のすみかとなっているほか、海水を浄化する作用がある。近年の海水温の変化などの影響で減少が続いており、それに伴い、エビなどを餌とする魚の漁獲高も減り、漁業への影響が懸念されている。
藻場の復活の取り組みは各地で行われており、海草のアマモを麻のシートに編み込んだマットを敷いたり、生分解性プラスチックポットなどを使った再生活動が行われているが、ダイバーの人件費や海洋ゴミの影響で広く普及していなかった。
そんな中、楠部准教授は微生物の力で砂を固めるバイオセメントに着目。海の砂と海中にいる微生物を使ってセメントを作り、アマモの種子が入った直径2㌢程度の球体を作製。海中にまくことで、海底でアマモが育ち、バイオセメントは少しずつ分解される。最終的には元の砂に戻るため、ゴミを残すことなく、アマモを定着させることができるとしている。
水槽などを使った実験ではアマモの成長を確認できており、海中でも成功する可能性は高いという。今月には日高町方杭でバイオセメントの球体「アマモボール」20㌔分を海にまいたことを紹介。「海の微生物の力を使って海洋資源を守る。今後は企業や漁業関係者などと協力して一刻も早い社会実装を目指し、豊かな海を取り戻したい」と展望を述べた。
サロンでは米子高専物質工学科の谷藤尚貴准教授も講演した。
写真=「アマモボールで藻場復活を」と楠部准教授


